G2-MFA-1725 妖精の縮退現象

本稿は国立地球外生命体研究機構が保有するMFAリポジトリに保管されています。


MFA-1725 妖精の縮退現象

妖精の縮退現象は、特性の非常に近い複数の妖精を狭い空間に押し込めた際に発生する、複数の妖精が1体の妖精のように振る舞う現象です。

裸の(註:妖精の着ているワンピースのようなものは妖精の体の一部であるため、これを身に着けた状態が裸です。)妖精は岩や机といった一般的な物質に重なって同一の空間を占め、すり抜けて移動できることが知られていますが、同様に妖精同士も互いに重なり合うことができます。

重なり合った妖精は互いの精神に干渉し合い、自己と別の妖精の混同や意識の一本化などの現象が発生します。さらに重なり合いを強めて完全に1体の妖精と同じ空間に押し縮めると、互いの精神が同期し、1体の妖精であるかのように振る舞います。これを縮退と呼びます。

性質

縮退している妖精群は全体で一つの自由意志を共有し、また肉体もすべてその自由意志の制御に従います。妖精が自身の意思で行動している限り、妖精自身の力で能動的に縮退を解除することはできず、すべての肉体の動きが同期しているため、外的要因によって解除される可能性もほとんどありません。

縮退によって妖精をより少ない面積で管理できるようになるほか、未縮退の妖精と比べて能力が少し強化されます。契約の際に支払う対価は1体の場合と変わらないため、縮退された妖精はコストパフォーマンスに優れます。

縮退可能な妖精群の規模に制限はなく、1573日現在、10万体以上の同種の妖精が縮退した事例が確認されています。異なる品種の妖精では、体形や精神構造の違いから肉体的もしくは精神的な同期が十分に行われず、縮退は成立しません。

取り扱い

縮退した妖精が傷つくと、その妖精群のすべての実体が同様に傷つきます。妖精の縮退数は正確に管理され、それに応じて適切な保護を受けなければなりません。

521日現在、妖精の縮退数を正確かつ高速に計測する統一的な手法はありません。下記の解体の操作を行うことで、妖精が縮退しているか否かのみ判断できます。妖精の縮退数を常に正確に把握できるように、妖精に縮退数を記入したゼッケンを着せるなどの措置が推奨されます。

凝縮

妖精を人為的に縮退させるには、耐透過グローブを両手にはめ、裸にした2体の妖精を片手に1体ずつ持ち、ゆっくりと互いの体を押し付けるように交差させてください。妖精の体の一部が重なり合ったら、その部位を基点にして他の部位も同様に重なり合うように、連続的に全身を押し込んでください。この過程を凝縮と呼びます。

解体

妖精の縮退を人為的に解除するには、耐透過グローブを両手にはめ、裸にした妖精の髪を適当に片手で1本ずつつまみ、それぞれ逆方向にゆっくり引っ張ってください。つまんだ髪の毛が同一の肉体に由来するものであれば、引っ張った髪の毛には張力が生じます。一方別の肉体に由来する場合は、ばねのように弾性力が生じます。弾性に逆らってある程度の力を加えると、ある時点で肉体の同期が外れ、縮退が解除されます。この過程を解体と呼びます。